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ナリンギンによる特発性肺線維症の軽減に関する研究
- 著者: Yi Wei, Lei Sun, Chao Liu, Lujia Li
- 出典: PMID: 36688958 DOI: 10.1007/s00210-023-02390-z
研究の背景と目的:
- 特発性肺線維症（IPF）は、異常な線維芽細胞の増殖と細胞外マトリックスのリモデリングを特徴とする慢性進行性の肺疾患で、最終的には呼吸不全や死に至る。
- ナリンギン（Nar）はグレープフルーツや柑橘類から得られる天然化合物で、IPF治療に有益とされる薬理活性を持つ。しかし、その肺組織保護効果の具体的な分子メカニズムはほとんど解明されていない。
- 本研究では、ナリンギンが小胞体ストレス（ERS）とミトファジーに及ぼす影響を調査することを目的とした。
研究方法:
- ブレオマイシン（BLM）誘発のマウスモデルを用いてIPFを誘発し、異なる用量のナリンギンで治療を行った。
- 肺の組織学的変化をヘマトキシリン・エオジン染色（HE染色）およびマッソン染色で調査。
- 線維化の程度は、ヒドロキシプロリンおよびコラーゲンの発現レベルを測定することで確認された。
- 炎症性サイトカインと酸化ストレス指標のレベルは、酵素連結免疫吸着試験（ELISA）と生化学キットにより測定された。
主な成果:
- ナリンギンは炎症反応と酸化ストレスのレベルを減少させ、アポトーシスの割合も低下させた。
- 小胞体ストレスおよびミトファジー関連遺伝子の発現を抑制し、転写因子ATF3を活性化し、PTEN誘導キナーゼ1（PINK1）の転写を抑制することにより、これらの過程に影響を与えた。
結論と治療への応用:
- ナリンギンは、小胞体ストレスを抑制し、アポトーシスを減少させ、ミトコンドリアの恒常性を維持することでIPF治療において有望な治疗薬である。
- これらの効果はATF3/PINK1シグナリング軸の調節に関連している可能性がある。
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